労働環境全般では、日本とブラジルとのコミュニケーションな どの文化的相違といった問題もあり、ブラジル人スタッフが定着しづらい状態になってい る
· 日系企業は、長期にわたる勤務経験を積んだスタッフを昇進させる傾向があるた め、結果的に勤勉な日系人がマネジャークラスに昇進する場合が多い
· 給与だけではなく、職場環境の改善の取り組みが必要との指摘もあった。卑近な 例では、スタッフの誕生日にケーキを用意して祝ったり、スタッフの家族の状況にも目配 りしたりするなど、ブラジル人の習慣などを取り込むことも大事になってくる。さらに、 スポーツインストラクターのいるスポーツジムの設置や保養施設の整備など、福利厚生を 整え、従業員の満足度を高めることで、人材の質を確保することがカギになるとの指摘も あった
· 子育てが一段落し、生活基盤が安定した 40 代の人材 を採用することが定着につながるケースもある。女性社員は男性社員よりも定着率が高く、 その傾向はマネジャークラスになると目立つという意見
· ジェトロはブラジル日本商工会議所と共催で、在サンパウロ日本総領事館の協力の下、 日系企業の海外展開を支援する「海外展開プラットフォーム」事業の一環として、煩雑か つ複雑なブラジルの法務・労務・税務などを学ぶ勉強会(全 6 回)を開催した
· ブラジルの労働法には労働者保護など 4 つの原則 があり、労働者保護は非常に手厚い
· 採用後、「労働によって耳が悪くなった」などの訴えを労働者が起 こすことがあるため、採用時点の健康状態を正確に把握しておくことがトラブルを回避す る上で必要となる
· 面接で妊娠の有無を聞くのは禁じ手
· 進出日系企業が陥りやすい誤りの 1 つに、権利非譲歩の原則に対する 理解不足を指摘する。これは、「労働者は与えられた権利を勝手に放棄できない」という原 則だ。例えば、労働者が自ら「超勤手当は不要」と書面で意思表示しても、労働法で超勤 手当の受け取りが認められているので、その意思表示は無効とされる。
· 2012 年 11 月に国家人口評議会(CONAPO)が発表した「人口見通し 2010~2050 年」によ ると、人口は今後も増加を続け、2050 年には 1 億 3,747 万人に達する。
失業率が低く、賃金水準が上昇していることから、各国では離職率も上昇している。退 職しても賃金の良い職場を容易に見つけられる可能性が高いことから、例えばブラジルの 日系企業では現地スタッフの離職率が 20%を超すケースがあるという。また、チリでは大 規模な開発プロジェクトが相次ぎ、賃金水準が最低賃金の 6 倍に達している鉱業分野への 人材集中が起こっている。
· 人材確保や流失の防止策として企業は、賃金引き上げには限度があることから、研 修プログラムの充実やキャリアアップの支援、抜てき人事、福利厚生制度の充実などに取 り組み始めている。
· ブラジルやメキシコでは原則として賃 金や福利厚生内容を引き下げることはできない。また、メキシコやペルーには労働者利益 分配金制度がある。税引き前利益の一部(メキシコでは 10%、ペルーでは業種により 5~ 10%)を労働者に報酬として配分する制度だ。
· 労働者の貢献度に関係なく、給与水準など に従ってほぼ機械的に配分するもので、本来であれば株主への還元や自社の再投資などに 充てられるべき利益がコストになってしまう制度だ。日本ではなじみのない制度であり、 注意が必要だ
· 最近の企業は人間関 係の構築能力、成熟度、当該人物の価値といった項目を、これまでの判断基準とされた学 歴、外国語、職歴といった項目と同様に評価することを求める
· 女性従業員を意識した取り組みも
· マン(MAN、トラック)、ニベア(Nivea、化粧品)、ユーロファルマでは、180 日間の産休を 与えている。ユーロファルマはサンパウロ市などの拠点内に託児所を設置。4 歳までの子ど もがいる母親が働きやすい環境を提供している。また、エンブラコ(Emblaco、コンプレッ サー)は新生児室を有し、出産間もない従業員にも新生児の面倒を見ることが可能な体制 を取っている。その他、ケース・ニュー・ホランド(Case New Holland、建機)やニベア のように、託児所の費用の援助を行っている企業も多い
· ケース・ニュー・ホランドには、学校で優秀な成績を得た従業員の子どもたちを 表彰し、玩具やゲームなどのプレゼントを提供する制度がある。ほかにも、独自の教育活 動の提供、子どもたちの学校費用を 100%助成、学習用具を提供するといった取り組み
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