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ブラジル人の身だしなみ
パリッとアイロンのかかったシャツ、短く整えられた髪と爪、きれいに磨かれた革靴という装いを、フォーマルな場において好むブラジル人は、身だしなみに人一倍気を配る国民である。
これは欧米文化の影響で、貧富の差や階級の差は外見に現れるため、ヨーロッパ文化の影響の濃いブラジルにおいても、清潔で信頼のあるイメージを大切にする。そこで、収入が増えるとまず手をつけるのが身だしなみと「歯」。昨今、年齢・性別にかかわらず、極めて多くの人が歯列矯正をしている。
要するに歯のきれいさは収入のバロメーターであり、経済成長著しいブラジルでは入れ歯やインプラント、歯科矯正の需要はウナギ登りである。
世界第5位(約1億9千万人)の人口を抱え、欧米諸国ではアメリカに次ぐブラジルは、歯科医の数も世界で2番目となり、約22万人の歯科医が存在すると言われている。日本の入れ歯人口は厚労省の調査によると2200万人だが、ブラジルは既に治療をした人も含めて、約3000万人が入れ歯やインプラントの治療を必要としている。消費を牽引する35歳以下の若年層が1億人を超えるブラジルだが、これは国の生活環境が改善し、国民全体の所得が上がったことにより、徐々に寿命が延び、高齢者の数も増え始めているからだ。
60歳以上の高齢者の数は現在約2073万人で、日本の約4038万人(2011年)に比べれば半分だが、2050年には6300万人に達する見込みで、男女の平均寿命も現在73.44歳と、ここ30年で10.55歳も延びている。
ブラジル人の平均寿命と高齢者数の推移
国民の寿命が延び、高齢者が増えているのは先進国化する過程であるが、今まで市場として認識されていなかったため、高齢者向けに特化した商材が少なく、サービスも不足している。さらに、ブラジルでは公的医療機関を無料で使用できるSUS(統一保険医療システム)と呼ばれるシステムがあるが、サービスが質・量ともに不十分なことと、入れ歯には保険が効かないケースがあることから、上記3000万人の入れ歯・インプラント需要がありながら、600万人が政府の支援を待っているようだ。量だけでなく、質の先進国化が待たれるところだ。
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