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2015年12月31日木曜日

『コロンビアの写真家5人の視線』


墨に五彩あり、とは東洋美学の審美を要約したような言葉だが、ブラジル出身のセバスチャン・サルガドの一群のモノクローム写真をみていていつも思うのは、美しい色彩感だ。色相ではなく、あくまで色彩である。フォト・ジャーナリストで色相と色彩の懸隔を感性的に詩にできる写真家はめずらしい。サルガドはそれを天性の美質として行き来させる。アーティストとしてのサルガドは後期印象主義の火照りを導入している。
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11月、日本コロンビア修好100周年記念事業のトリともいうべき位置に座ることになったイベント『コロンビアの写真家5人の視線』がが東京工芸大学の中野キャンパス内の写大ギャラリーで開かれた。コロンビアの芸術表現活動は騒擾の国であるにも関わらず、南米でも活発かつ充実したものがある。それは文学・演劇・映画・音楽・絵画に彫刻、さらに舞踊やテレノベラ(連続テレビドラマ)制作という分野にも渡っている。それは一連の修好記念イベントでさまざまな場で日本紹介が行なわれてきた。ことでも実証されている。
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メキシコやブラジル、アルゼンチン……といった国をのぞけば写真家が生計を得るための出版媒体は少なく、また規模も小さい。中米の小国グァテマラに居住していた6年ほどのあいだに写真を中心とするイベントに親しく接したのは3~4回ほどの数でしかなかった。むろん、それがすべてはないだろう。しかし、グァテマラにアートとしての「写真」が自立する草創期に屋須弘平という日本人が介在していたこともあって、同国の写真界にそれなりの目配りをしてきたはずだったが、その程度の数でしかなかった

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