2015年1月18日日曜日

いいものを作りさえすれば、あとは黙っていても売れる、というタイプの人が製造業に多い


いいものを作りさえすれば、あとは黙っていても売れる、というタイプの人が製造業に多い気がしています。それも大事なことですが、それだけではきっとダメでしょう。ビジネスは広い意味でのコミュニケーションですから、相手にいかにうまく伝えるか、相手の気持ちにどうやって寄り添うのか、そういうスタンスがもっと日本企業にあってもいい気がします。
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それは旅に出て視点を変えることが大事だというスタンスにも通じる話です。自分のスタンスだけでものを見続けると、受け手側はどういう印象を受けるかに思い至らない。視点を変える訓練を絶えずして、ユーザーの立場になったらどう思うかと考え続ける癖をつけることも大切かなと思います。
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ニースのお店のスペシャリテの1品として、魚をタルタルにして、その上に煮こごりのゼリーとキャビアを載せて、わさびをちらす料理があります。フランス人には「ブイヤベース・ジャポネーゼ」だと紹介して、「サフランとニンニクとトマトが、しょうゆとショウガに変わっただけで、全く一緒だよ」と伝えると、面白いと食べてくれるんですよ。一つ言い方を変えるだけでも伝わり方が全く違います。相手の文化を理解していなければ、それはできませんが。
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高校のサッカー部の先輩が、ニューヨークで豚足屋をやっていて、ものすごく流行っているのですが、もともと豚足は、アメリカでは産業廃棄物だったんですよ。「ニューヨーカーは豚足を食べるんですか?」と聞いたら、「パリジャンはピエドコションという名で、豚足食べるだろ?コラーゲンがいっぱいで肌にいいと言って。アメリカでレッグピックと言っても売れないけど、『フランス人が好きなピエドコションだ』と言うと売れるんだよね」と言っていました。
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相手が何に関心があるかがわからなければ、その言い回しはできません。アメリカ人は、フランスに対して憧れを持っています。それをちゃんと理解したうえで提案して売っているので、すごいなと思います。明太子も売っているんですけど、「スパイシーキャビア」といって出しているそうです(笑)。



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